第十八章「彼氏と彼女」

5/17
230人が本棚に入れています
本棚に追加
/421ページ
思い返せば、何個か気になる場面もあるような。 俺と瑠衣のことにはやたらと敏感だったし、俺がヘタレてる時は「瑠衣の気持ち考えろ」的な助言をくれた。 ちょっと前には「俺もエセ友抜け出したい」みたいなことだって言ってた。…え、あれって俺との関係のこと言ってたんじゃないの?あれ?俺物凄い勘違いしちゃった? ていうか今まであんま気にしたことなかったけど、そういえば基本女子に優しい理人は瑠衣にだけ態度が違った。 いっつもからかってて、すぐ可愛いとか言うのに瑠衣には全然言わなくて、他の女子と話す時の態度とは違う。 それは友達的なものだって思ってたけど、もしかしから好きの裏返しだったってこと…なのか…? 「おい、そこの彼女持ちクソ野郎。何マヌケな顔してこっち見てんだよ」 気付けば、理人が険しい顔でこっちを見てた。おっと、何か色々考え過ぎて自分がどこにいるか忘れかけてた。 「いや…急な展開に頭が付いていかなくて」 相川さんとお付き合いを始めたことを報告するのにドキドキしてたけど、今は違う意味でドキドキする。人の告白、初めて見ちゃった。 「まぁ、今言うつもりもなかったけど。なんて言うか、成り行き」 当の本人はシレッとしてるけど、理人を見てたら意識的に瑠衣の方を見ないようにしてるのが分かる。平気そうにしてたって、平気なはずないんだ。 因みに、もう一人の当事者である瑠衣は未だに点の化身と化してる。 「ち、ちょっと瑠衣、アンタ今理人に告られてるよ」 真凛から肩を揺さぶられて、そこで初めて瑠衣は「えっ」と声をあげた。
/421ページ

最初のコメントを投稿しよう!