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「え、あ、う、る、瑠衣って、私のこと?」
変なこと口走ってる、相当動揺してるみたいだ。いや、そりゃそうだよね。突然を通り越して、目覚めた異世界みたいなもんだもんね。多分。
「あ、あの…あの私…私…っ」
瑠衣は、理人や真凛と違ってどっちかと言うと俺より。素直だし、思ったことは割と表情に出る。
それは今も例外じゃなく、思いっきり動揺してる。理人の感じからして、流石に冗談では流せないみたいだ。
にしても瑠衣の動揺っぷりは凄い。顔真っ赤で、眉がハの字になって、目線はウロウロ忙しなく動いてる。
「あ、私…よ、よ、用事!そう、用事思い出したから!ごめん、さ、先に帰るねっ」
追い詰められた兎みたいな瑠衣は、秒速でカバンを手にすると跳ねるように教室を飛び出していった。何回か机に激突してたけど、大丈夫かな…
「る、瑠衣、行っちゃったね…」
何だこのいたたまれない空気は。
「ま、まぁ急過ぎるし瑠衣もビックリしたんでしょ」
さっきより動揺はしていない真凛だけど、表情は気まずげだ。
「ま、こうなるって分かってたし。別にいーけど」
理人だけが、通常運転。いや、そう見せてるだけ。
「て、ていうかさ。何で、今突然言ったの?」
俺も、前に突然相川さんに告白しようとしたことはある。というより、俺は相川さんに対していつもそんなだ。勝手に口からポロッと出るっていうか。
けど理人は、俺とは違う。いっぱい考えてるし、周りも良く見てる。ついポロッと出ちゃう、なんてことにはならない筈だ。
「…瑠衣の為でしょ」
腕組みしながら考え込んでた真凛が、そう口にした。
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