第十八章「彼氏と彼女」

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「瑠衣の為に、言ったんでしょ」 「…え?」 「南のこと聞いたら、瑠衣どうしたって傷付くから。だから、告白してそっちに意識持ってこうとした。瑠衣の気が、ちょっとでも紛れるようにってね。違う?」 半ば確信したような真凛の言い方に、理人は何も言わなかった。 「…マジで?理人そんなことまで考えてたの?」 開いた口が、ただただ塞がらない。瑠衣を傷付けたのは、俺。理人は瑠衣の為に、自分の告白を犠牲にしたってこと? 告白、ホントはもっとちゃんとした場面でしたかったに決まってる。なのに理人は… 「別に、そんなんじゃないって。ただ言いたかったら、言っただけだし」 「ぜっったい、嘘」 「俺そんな良いヤツじゃないし」 「いや、理人は良いヤツだよ!」 力強く口にすると、理人は眉間に皺を寄せた。 「マジかお前、相当なドMだな」 「ち、ちょっと何その言い方!」 「煩いな南、ちょっと黙っててよ」 「…はい」 ピシャリと真凛に言われ、俺はすぐ黙った。強い女性には、勝てません。 「理人、もう一回聞くけど遊びって訳じゃないよね?」 「俺、遊びで付き合ったこと一回もないけど?」 「今までなんかどうだって良いの。私は、瑠衣のこと本気なのかって聞いてんの?」 真凛は、射抜くみたいにして理人を見る。その視線の所からジリジリ焼け始めて理人燃えちゃいそうだ。 理人は、相変わらず読めない表情で窓際に寄りかかったままだ。 「真凛、優しいね」 「別にそんなんじゃないけど」 「俺そんな、バカに見える?」 「は?」 「俺そんな、タラシに見える?」 「「うん」」 「南、お前には聞いてねぇ」
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