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「瑠衣の為に、言ったんでしょ」
「…え?」
「南のこと聞いたら、瑠衣どうしたって傷付くから。だから、告白してそっちに意識持ってこうとした。瑠衣の気が、ちょっとでも紛れるようにってね。違う?」
半ば確信したような真凛の言い方に、理人は何も言わなかった。
「…マジで?理人そんなことまで考えてたの?」
開いた口が、ただただ塞がらない。瑠衣を傷付けたのは、俺。理人は瑠衣の為に、自分の告白を犠牲にしたってこと?
告白、ホントはもっとちゃんとした場面でしたかったに決まってる。なのに理人は…
「別に、そんなんじゃないって。ただ言いたかったら、言っただけだし」
「ぜっったい、嘘」
「俺そんな良いヤツじゃないし」
「いや、理人は良いヤツだよ!」
力強く口にすると、理人は眉間に皺を寄せた。
「マジかお前、相当なドMだな」
「ち、ちょっと何その言い方!」
「煩いな南、ちょっと黙っててよ」
「…はい」
ピシャリと真凛に言われ、俺はすぐ黙った。強い女性には、勝てません。
「理人、もう一回聞くけど遊びって訳じゃないよね?」
「俺、遊びで付き合ったこと一回もないけど?」
「今までなんかどうだって良いの。私は、瑠衣のこと本気なのかって聞いてんの?」
真凛は、射抜くみたいにして理人を見る。その視線の所からジリジリ焼け始めて理人燃えちゃいそうだ。
理人は、相変わらず読めない表情で窓際に寄りかかったままだ。
「真凛、優しいね」
「別にそんなんじゃないけど」
「俺そんな、バカに見える?」
「は?」
「俺そんな、タラシに見える?」
「「うん」」
「南、お前には聞いてねぇ」
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