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だって、理人にはちょいちょい彼女が居た。瑠衣をいつから好きなのかどうかは分かんないけど、好きな人が居るなら普通彼女は作らない。
真凛も同じように思ってたみたいで、それを理人に指摘する。理人は「色々ある」って誤魔化してたけど、真凛は納得いってない表情だった。
「まぁ、変なことはしないから安心してよ。傷付けるようなことは、しない。南とは違うしな」
…それを言わないで。
「冗談だって。そんな顔すんなよ」
理人は、二カッと笑う。それを見て、真凛の険しい顔が少しだけ和らいだのが分かった。
「ま、決めるのは瑠衣だし。好きになってもらえるよう適当に頑張るわ」
「ホント、アンタって読めない」
真凛が溜息を一つ。
「けど悪いヤツじゃないってのは分かるし、今は様子見ってことで。瑠衣泣かしたら、ブッ飛ばすから」
そして爽やかな笑顔で、勇ましい台詞を口にした。
「真凛になら、ブッ飛ばされても良いかな」
同じく笑顔の理人。
「ち、ちょっと理人!俺まだ良く状況が掴めてないんだけど!でもホントに、瑠衣のこと傷付けんなよ!」
「世界で一番お前に言われたくねぇ台詞だわ」
なぜだろう、満面の笑みが恐ろしい。
「ま、本気なら別に問題ない訳だしせいぜい頑張って。じゃ、私瑠衣追いかけるから」
真凛はクールな表情でサッとカバンを手にする。
「あ、南」
「はぇ!?」
呼ばれると思ってなかった。
「ちゃんと自分の口から言ったこと、私は悪いとは思わないよ。こればっかりは仕方ないことだし。おめでと」
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