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「お、お前…マジで…ブレねぇな!ここまでくると尊敬すらしたくなるわ」
ゲレゲラ腹抱えて笑ってる理人に、俺は内心ホッとした。
「自分も彼女できたから君もきっとできるよってか。全然励ましになってねぇし」
「な、べ、別にそういうんじゃ!」
ムキになる俺を、理人が宥めた。
「嘘嘘、分かってるって。ありがとな、南」
だからってお礼を言われるのも、それはそれで反応に困るなぁ。
「ま、別に良いんだって俺のことは」
理人は、いつもの飄々とした感じに戻った。
「それより、南。お前のことの方が大切だろ」
いや、いつもより物凄く真剣な顔してる。
「え、俺のこと…?」
そんな真面目な顔して話すことなんて、あった?
「お前…もうDT卒業したのか?」
「…ん?」
「もしかして、まだ?」
「…ん?」
「その様子だと、DTはおろかキッスもまだだな」
「…ん?」
「おいしっかりしろよ、南。そんなナリしててもお前は男だろ?こういうのは男側がしっかりリードしねぇと」
「…ん?」
「なんなら、また俺が女装して練習相手になってやろうか…?」
「あ、ご、ご、ごめんなさい!ごめんなさい!ホント、ホント止めて!脇ワサワサするのホント止めて!」
ニヤニヤ顔を浮かべる理人の過剰過ぎるスキンシップに、ひたすら逃げ惑う。
ていうか、無理!この手の会話無理!まだ付き合って約一週間だよ!?そんな、そんなことできるわけないじゃん!ねぇ!?
「案外、向こうは待ってるかもよ?」
「あぼぼぼぼぼ」
理人の言葉に、照れながらこっちを見つめる相川さんの顔が一瞬浮かんで……俺は死んだ。
無理だ。付き合えただけでも奇跡なのに。その先なんて考えられない。無理。相川さんだって、その辺苦手っぽいし無理にそんなカップルみたいなことされたくない筈だ。
「お前はホント何も分かってねぇお子ちゃまだなぁ」
「う、煩いよっ!ていうか、心の声読むなーっ!」
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