第十八章「彼氏と彼女」

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ーー 「でね、そうなったら絶対一緒に観に行こうね!?」 「ヤダ」 「え、即答!?」 「絶対つまんない」 放課後、今は相川さんと二人で下校中だ。そして何の会話をしてるのかというと。 「だって、あの帝様だよ!?あの帝様が人として動くんだよ!?凄くない!?絶対カッコいいって!」 俺のドSの参考書である少女漫画に出てくる絶対的ドS暴君ヒーロー、帝様。あの漫画が実写化されるって今朝のネットニュースで見た俺は、こうして相川さんに報告中なのです。 「あのって、どのよ」 多分、今この瞬間俺達は世界で一番温度差の激しいカップルだと思う。「世界温度差激しいカップル選手権」があったら、間違いなく良い線いくよ絶対。 「だから、前から漫画貸すって言ってるのに」 「借りたって読まないから」 いつにも増してブリザード感漂う相川さん。この話題になると、相川さんは大体こんな感じだ。 「ホント相川さん、帝様の話になると冷感増すよね」 「だって興味ないし。それに」 「それに?」 「その人、兄ちゃんに似てるんでしょ?益々ヤダ」 俺の隣を歩きながら、相川さんは心底嫌そうな顔をした。 「いや最初はそう思ってたけどね?今は違うよ。見た目はどっちもパーフェクトだからその辺りは似てるかもしれないけど、性格は全然違う。相川さんのお兄さん、優しいもん」 この間、意を決して交際のご報告メッセージ送ったら「おめでとう、小花よろしく」って返ってきたし!速攻でスクリーンショットしてコンビニでプリントアウトして机に大事にしまっています。 「どっちにしても、その手のヤツ興味ない」 「そっかぁ。残念」 ショボン、肩を落とす俺。ホントは相川さんと行きたかったけど、本人が嫌ならしょうがない。ていうか、ほぼの確率で嫌がられるどっち分かってたしね。 理人誘うわけにもいかないし、レイトショーで一人こっそり観に行こう。うん。 「…けど」 一人決意していると、不意に相川さんが呟いた。
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