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「…出掛けるなら」
「え?」
どことなく、ソワソワしてる様子。
「…その、一環なら」
「…行く」
最後は、ホントにちっちゃくて。俺は脳内で相川さんの言葉を解釈していく。
“出掛ける、その一環としてなら、行く”
その、意味は。
「デートとしてなら、行ってくれるってこと?」
答えを導き出した俺、正解と言わんばかりに相川さんが小さく小さく頷いた。俺の隣で俯きがちにモジモジする相川さんは、この世何を差し置いても最強に可愛かった。
デート。この単語使ったらてっきり怒られるかと思ってたけど、相川さんは怒らない。寧ろ、可愛い。
何なんだ、この人は。何でこんなに、可愛いんだ。可愛過ぎて可愛過ぎて、俺はーー
「さ、さささささ早乙女君!?」
物凄く焦った、相川さんの声。その声に、俺は我に返った。
…い、今。俺は今。
イッタイナニヲシタノデスカ?
相川さん可愛いなぁって思って、キュンとして。ギュンときて。手が。手が勝手に。手が思わず。
相川さんの頬っぺたを触ってました。
自然と、二人の足が止まる。
「ご、ごごごごめん!お、俺っ」
慌てて、相川さんから手を離す。顔が。顔が熱い。
「い、いいい良いけど別に」
キョロキョロ、相川さんの瞳が忙しなく動く。動揺するのも当たり前だ。さっきまで別にそんな雰囲気でも何でもなかったし、第一今下校中。周りに同じ高校の人は居なくても、ポツポツと通行人は居る。
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