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や、ヤバい。この間理人に相川さんとは清い交際をします宣言的なことしたくせに、早速これとは。しかも自分の意思関係なく手が勝手に動いちゃう辺り、俺相当末期だ。
色々考えてたら、あれだけ熱かった顔が途端にサァーッと青くなっていくのを感じた。
「さ、早乙女君?」
相川さんが、戸惑い気味に俺の顔を覗き込むようにして。そんな何気ない仕草にすら、俺の心臓は肋骨突き破って出てきそうな位高鳴ってしまう。
「ご、ごめん!俺今ちょっとヤバいみたい」
バッと、掌で顔を隠す。
「ヤバいって、何が」
何がって…何って…
「せ、性欲、かな…」
時が、止まった。
相川さんからサーって何かが引いていったような。いや、現在進行形で引いていってるような。いつものブリザードアイより何倍もの凍てついた視線。そして、いつの間にか距離が離れてる。
「あ、いや違う!ちょっと言い方間違えた!」
ザックリとしたカテゴリー的には同じかもしれないけど、言いたかった言葉は違う!
両手をブンブン振りながら、兎に角身の潔白を証明しようとする。
「可愛くて!相川さんが可愛くて!つい手が動いちゃうって言うか…場所関係なくどこでもギュッとしたくなっちゃって…」
「…」
「まだ付き合ってちょっとしか経ってないし、相川さんのこといっぱい大事にしたいし、怖がらせたくないし、傷付けたくない。その気持ちはホントなのに、何かこう…止まんなくて。好きって思ったら、もうワーッてなっちゃって…ごめん、かなりキモいね俺…」
言ってて自分でも気持ち悪くて、ショボくれる俺。自分で自分がこんなヤツなんて、思わなかった。こういう面では割と自制心効くタイプとか思ってなかったけど、そうでもなかったらしい。
なんてことだ、これじゃあ…
「そこら辺の痴漢するオッサンと変わらない…」
俺は絶望した。
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