最終章「南、大団円なるか?」前編

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当然のようにそう口にする、いつもと違う雰囲気の優希ねぇ。スカートよりパンツ、フワフワよりカッチリって格好が好きな優希ねぇにしては珍しく、フンワリしたニット素材の淡い色合いのワンピース姿。 このカッコで平然とパイルドライバーとか言っちゃうんだから、恐ろしいのなんのって…ってそうじゃなくて。 「え!?彼氏じゃないの!?」 じゃあ、彼女!?え、でも同性同士は結婚できないよね? 「会社の、上司」 「上司!?」 「話したことなかったっけ?」 優希ねぇの一言に、俺は頭を巡らせた。優希ねぇの口から聞いたことある上司って、一人しか居ない。酔っ払ったら、いつも俺をその人に見立ててプロレス技とかかけてくるから。…え、もしかして、上司って。 「優希ねぇがいつも愚痴ってる、あの…!?」 あの野郎、とかあのハゲ、とか憎々しげに言ってるあの人!? 「そんな愚痴ってはないでしょ」 普通の顔して言うけど、愚痴ってるから!寧ろ口以上に手が出ちゃってるから!俺に! 「え、ホントにその人なの…?」 「南が言ってんのがどの人か分かんないけど、ウチであの人以外の上司の話したことないから多分合ってる」 え、え、えぇぇぇーっ!? 「で、でも、嫌いなんじゃないの!?」 ハゲてるんじゃないの!? 「まぁ、最初は嫌いだったけど」 「じ、じゃあ何で結婚!?」 ていうかハゲてるんでしょ!? 「あの厳しさが、愛故だって気付いたから…かな」 ちょっとポッとする優希ねぇに、俺は目を剥いた。 あんなに愚痴ってたのに!文句ばっか言ってたのに!し、し、しかも! 「ハゲてるんでしょ!?」 「は?ハゲてないけど。あんたバカにしてんの?」 優希ねぇが、自分で言ってたんじゃないか!!!
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