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「…理人は、凄いね」
ずっと立ってた俺は、ソファに座る理人の前に正座する。
「何が」
「何か色々。俺理人が居なかったら、生きていけない気がする」
チャランポランで適当に見えて、いつも周りを良く見てる理人。ホントに、俺はいつも助けてもらってばっかりだ。
あ、何か凄い情けなくなってきた…
「ま、それはお互い様だな」
理人は、また当然みたいな言い方をした。
「お前見てると飽きねぇし、居ないとつまんねぇ」
「理人…」
「南の近く居れば何かしら起こるし、退屈しのぎにはちょうど良いってことだな」
「な、何だそれ…」
いつものニヤニヤ顔に戻った。くそ、ちょっと腹立ってきたぞ…
「今日、ちゃんと優希さんにおめでとう言えよ?」
「理人も来てくれる?」
「優希さんの為にな」
「ありがとうっ!」
「足に抱きつくな」
理人のムカつく位長い足にスリスリしながら、俺はふと気付いた。
自分のことばっかり相談してたけど、そう言えばあれから瑠衣とはどうなったんだろう。
足から手を離して、理人の顔をマジマジと見つめる。
「今度は何見つめてんだよ、気持ち悪りぃな」
しかめっ面の理人を穴が開くほど見つめても、全然分かんない。理人がいつも通り過ぎる。
気にはなる。いつも俺ばっか頼ってるし、力になれるなら何だって協力したい。けど、俺恋愛のことなんか全然分かんないし、第一なんて聞いたら良いのか…
俺が「理人、瑠衣とどうなったの?」って聞いてもデリカシーに欠けてないかな、大丈夫かな。うーん…
「言っとくけど、瑠衣にはフラれたぞ」
何でもできる神様みたいな理人は、聞く前に俺に答えを差し出してくれた。
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