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ーー
「ごめんね、急に」
「良いよ、特に予定ないし」
「友達の約束とか、なかった?」
「…私に友達居ないの知ってて言うかこの野郎」
相川さんは、俺の誘いを快く受けてくれた。優希ねぇと喧嘩?みたいな感じで家出てきたって言ったら「お姉さん大好きだね」って理人と同じような台詞を言われた。
…俺、そんなシスコンに見えるかなぁ。どっちかというと常に怯えてるんだけど。
そして今は、二人で街中を散策中。理人に言われた通り優希ねぇへのプレゼントを探してる。
…んだけど。
「…思い付かないもんだねぇ」
雑貨屋さんやアパレルショップ、家具屋さんなんかにも行ってみたけどイマイチこれだ!って思うものに出会えない。優希ねぇの好きなものといえばお酒くらいしか思い付かないんだけど…結婚のお祝いにお酒って良いんだろうか。そんな高いもの、買える訳じゃないしなぁ。
…ていうか、良く考えたら未成年だし買えないか。うーん、どうしよう。
二人で悩みながら歩いていると、相川さんが不意に足を止めた。彼女の視線の先にあるのは、お花屋さんだ。
小さなお店、けどお花屋さんって言うよりフラワーショップって言った方が良いのか、一見雑貨屋さんに見えなくもないような、お洒落な雰囲気だった。
「あそこ、寄ってみても良い?」
見てるだけで何も言わない相川さんに声をかける。
「あ…うん」
二人でお店に近付くと、フワッとした優しくて良い香りが鼻孔をくすぐった。俺は花に詳しくないし、相川さんも詳しいって話は聞いたことがない。けど相川さんは、表情こそいつもと変わらないけどどことなくワクワクしてるように見えた。
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