最終章「南、大団円なるか?」前編

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店内はオープンな作りになっていて、はじめての俺達でもスッと入りやすい。お客さんも、結構居る。 「お花、可愛いね」 見えやすくディスプレイされた色とりどりの花は、とっても綺麗で可愛い。どれが何、って知識はなくても、癒される。 しかもただ並べてあるだけじゃなくて、大きさとか色とか、バランス良く置いてあるからゴチャゴチャしてない。花がたくさんある分店内は木調のシンプルな雰囲気で、それがまた一層オシャレ感を醸し出してる。 ザッと見回すと、生花だけじゃなくて花に関する小物なんかも色々と置いてあるみたいだ。 「お母さんが、好きなんだよね」 相川さんの言葉に、俺は頭の中で相川さんのお母さんを思い浮かべた。うん、イメージにピッタリだ。 二人でゆっくり歩きながら見ていると、フッと目に入った一角のコーナー。相川さんもそうだったみたいで、どちらからともなくそのコーナーの前で足が止まった。 「…可愛い、キラキラしてるね。これも、花かな」 目線が、そこに吸い込まれるみたい。 「多分、花だよ。確か、枯れないように加工された花」 そこを見てる相川さんの瞳も、反射してキラキラ光ってる。 「ハーバリウム?って名前なんだ、これ」 ディスプレイされた商品の横に書いてある説明書きには、そう記されていた。 「相川さん、知ってる?」 「まぁ何となくはね。人気なんでしょ、今」 流行に敏感なねぇ達だけど、多分花に興味とかないからなぁ。俺は知らなかったし、ねぇ達から買ってこいとか言われたこともないや。 「しかも何か、凄い良い匂いするね」 店内全体が良い香りなんだけど、中でもここは特に香りが強い。きつい香水みたいな感じじゃなくて、心が落ち着くような気分だ。 色んな形の瓶の中に水みたいなのが入ってて、そこに色んなお花やフルーツがバランス良く入れられてる。説明書きを読むと、瓶の中には専用の保存液が入ってて、綺麗な色のまま長く花を楽しめるらしい。 中には、アロマディフューザーになってるものもあるって。だからこんなに良い香りなのか、このコーナー。
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