最終章「南、大団円なるか?」前編

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俺達は、暫しこのコーナーに釘付けになった。俺はもちろん、相川さんもちゃんと見るのは初めてらしく興味津々に覗き込んでる。 「こういうのも、あるんだね」 花束とかが枯れないように加工されてるプリザーブドフラワーってのは知ってたけど、こんなものがあるなんて知らなかった。 男の俺でも、素直に綺麗だなって思える。だって、キラキラしててホントに可愛い。 「…これ、綺麗」 さっきまで眺めてるだけだった相川さんが、初めて一つ手に取った。テーブルにたくさんディスプレイされてるハーバリウムの内の、一つ。 「わ、ホントだ綺麗!」 どっちかというと赤とかピンク、黄色なんかの明るくて可愛い色のものが並んでる中で、相川さんが手に取ったのは至ってシンプルなものだった。 スラッと細長いガラス瓶には、保存液と花。白と緑が基調になっていて、中には白いパールみたいなキラキラしたものも一緒に入ってる。 保存液も他とはちょっと違って、揺らすと控えめにキラキラ光って凄く綺麗だった。瓶の口の所には白くて細長いリボンが巻かれてて、そのリボンもラメで光ってる。 シンプルなんだけど、キラキラしててホントに可愛い。俺の中で何となく、結婚式っぽいイメージを連想させた。 「これバラかな。こんな白くて小さいのもあるんだね」 「緑と白って、キラキラしてると何か可愛いね。何となく、優希さんぽい」 俺の思ってることと相川さんの思ってることは、どうやら同じらしい。普段明るい色やヒラヒラした服を着ない優希ねぇ。多分こういうのあんま興味ないとは思うけど、これは優希ねぇっぽいなって俺も思った。 そんなに大きくないし、デザインもどっちかといえば 控えめだし、これなら邪魔にならないかなぁ。
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