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「自分じゃ買わないようなもの、貰うのもたまには良いよね」
手に持った瓶を少しユラユラさせながら、相川さんがポツリと呟いた。
「何となく、特別っぽくて」
キラキラしたものを手にしてる相川さんも、キラキラして見える。
「…俺、これにしようかな」
「私も、半分出す」
「え、いや良いよ!」
「早乙女君に買うんじゃないし」
「まぁ、そうだけど…」
「優希さん、私のこと気遣って良く連絡くれるし。私も少しは、お返ししたい」
手の中のハーバリウムを見ながら、そう口にする。ていうか、相川さん優希ねぇとも連絡先交換してたんだね…
「ありがとう、優希ねぇ俺からより相川さんからってのに喜ぶよ絶対」
「そうかな」
どことなく嬉しそうなのが、破滅的に可愛い。
ーー
ラッピングもしてもらって、ようやくプレゼント選びは終了。…なんだけど。
「何か、変」
「え、そ、そうかな!?」
「何、その感じ」
ジットリとした疑いの眼差しを受ける俺は、ワザと視線を斜め上へ向けた。
「べ、別に変じゃないよ!あ、お、俺ちょっとトイレ!ここでまってて!絶対絶対、ここから動かないでよ!」
さっきのお花屋さんから少し離れた場所に相川さんを残し、俺は足早にその場を立ち去った。良し、完璧!めっちゃ自然!全然怪しくない!
俺は相川さんにバレないように、もう一度お花屋さんに入る。キョロキョロ辺りを見回して、さっき見つけたネックレスをそっと手に取った。
ゴールドチェーンの華奢な作り、ペンダントトップに、小さな丸いガラスに入れられた花が付いてる。多分、これもハーバリウムの一種なんだろう。説明書きの欄には桜を使ったものだって書いてある。
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