最終章「南、大団円なるか?」前編

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そんな相川さんを見ながら、俺が思ったこと。 「相川さんに友達居なくて、良かったなぁ…」 思わず、しみじみと呟いてしまった。 「…は?」 目元に当てられたハンカチが、相川さんの握力でグシャッと歪む。 「あ、ごめん」 つい、本音が。 「どういう意味」 「だって、相川さんが口悪くなくて友達も居たら、全員絶対相川さん好きになっちゃうから」 「は、はぁ?」 「中身、こんなに可愛いんだよ?好きにならない訳ないじゃん!」 「アンタねぇ…」 あきれ気味に、言われる。けど、ホントのことだから仕方ない。 「良かった」 「ホントの小花ちゃん、一番に見つけたのが俺で。ホントのホントに良かったなぁ」 思わず、目を細めて顔を緩める。目の前で泣く相川さんを見ながら、心からそう思った。 「…バカ」 言い方に、棘も何もない。 「可愛いかどうか知らないけど、アンタが、私を変えたんでしょ」 ハンカチから覗くちょっと怒ったような視線。それが照れからくるものだって分かるから、また胸がギュンッて締め付けられるみたいになった。 そしてまた、今相川さんの側に居るのが俺でホントに良かったって思った。
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