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そんな相川さんを見ながら、俺が思ったこと。
「相川さんに友達居なくて、良かったなぁ…」
思わず、しみじみと呟いてしまった。
「…は?」
目元に当てられたハンカチが、相川さんの握力でグシャッと歪む。
「あ、ごめん」
つい、本音が。
「どういう意味」
「だって、相川さんが口悪くなくて友達も居たら、全員絶対相川さん好きになっちゃうから」
「は、はぁ?」
「中身、こんなに可愛いんだよ?好きにならない訳ないじゃん!」
「アンタねぇ…」
あきれ気味に、言われる。けど、ホントのことだから仕方ない。
「良かった」
「ホントの小花ちゃん、一番に見つけたのが俺で。ホントのホントに良かったなぁ」
思わず、目を細めて顔を緩める。目の前で泣く相川さんを見ながら、心からそう思った。
「…バカ」
言い方に、棘も何もない。
「可愛いかどうか知らないけど、アンタが、私を変えたんでしょ」
ハンカチから覗くちょっと怒ったような視線。それが照れからくるものだって分かるから、また胸がギュンッて締め付けられるみたいになった。
そしてまた、今相川さんの側に居るのが俺でホントに良かったって思った。
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