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ーー
「可愛いっ」
「はいはい、もう良いから」
ネックレスを付けてくれた相川さんは、最高に可愛かった。いや、付けなくても可愛いんだけど。
公衆の面前で泣いたり照れたり、散々騒いどいて今更なんだけど、相川さんの首に手を回してネックレスを付けてあげる…なんて高度な技が俺にできる筈もなく。
普通に手渡すと、相川さんは「ありがとう」って少しだけ笑った後すぐに付けてくれた。
そして今は、二人で俺の家に向かってる途中だ。もう何回口にしたか分からない「相川さん可愛い」の言葉。最初は照れてたけど、段々面倒になってきた模様。
だって、自分が選んでプレゼントしたものを付けてくれて、しかもその姿を隣で見れて。控えめに言って、泣きそうな位嬉しいです。プレゼントを喜んで貰えるって、こんなにも嬉しいものなんだなぁ…
手には、優希ねぇへのプレゼント。相川さんは、さっきケーキ屋さんでケーキも買ってた。「買わなくて良いのに」って言ったけど、「早乙女君の為じゃない」って言われるとそれ以上は何も言えません。ありがとう、相川さん。
「今更だけど、私行っていいのかな」
「相川さん来てくれないと、俺帰れないよ。ていうか、俺の方が帰り辛い…」
啖呵切った癖に、ノコノコ帰り辛い。帰ったとして、素直に「おめでとう」って言ってあげられるか、不安だ。
相川さんの隣でシュンとする俺、めちゃくちゃ情けない。
「…早乙女君てさ」
相川さんの声色は、いつも通り冷静。
「お姉さん達の尻に、敷かれてるよね」
「…まぁ、はい。そうですね」
冷静に言われるのも、何か辛いな。
「好き放題、使われてるし」
「…そうですね」
「言いたいこと、言われまくってるし」
「…そうですね」
「絶対、勝てそうにないね」
「…そうですね」
やっぱり、相川さんの目から見てもそうですよね。そうにしか、見えないですよね。
「家族だね」
「まぁ、それはそうだよ」
逆に、家族じゃなかったら耐えられない。
「何か、良いね」
サラッと言う相川さんに、俺は驚愕の表情を向けた。
良いね…?何が!?どこが!?どの辺が!?
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