最終章「南、大団円なるか?」前編

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「上手くは言えないけど。早乙女君が今の早乙女君なのは、お姉さん達が居るからなんだなって。何か、凄い家族って感じ、する」 その言葉に、ふと昔の記憶が蘇る。 ーーあれは確か、俺が小学校一年だったか二年だったか。クラスの女子五人位から、やたらと可愛いを弄られた時期があった。 イジメ、って程じゃないけど集団でからかわれて、言い返しても笑われて、ホントに、凄く嫌だった。 家の近くまで来られて、泣きそうになりながらやっぱり言い返さずにはいられないから言い返して。けど、笑われて。 そしたら物凄い勢いで後ろからねぇ達三人が走ってきて、そのままの勢いで女子達に体当たりして。 ねぇ達が何を言ってたかまでは覚えてないけど、兎に角怒ってたことだけは覚えてる。確か「南をからかって良いのは私達だけ」的なこと大声で言ってた気がする。 その後家帰って三人からめっちゃ怒られてその時はマジ泣きした。髪引っ張れだのだのブン殴れだの、物騒なことばっか言ってた。確か。 女子達には弄られて嫌な思いするし、ねぇ達も助けてくれたと思ったら怒ってるしで踏んだり蹴ったり。だったんだけど。 その時なぜか、思ったんだよな。考えてみれば、あの女の子達とねぇ達、俺に対して言ってることは同じな気がする。女みたいとか情けないとか頼りがいないとか。 女の子達に囲まれて言われるのは、凄く嫌だった。けど、ねぇ達に囲まれて言われるのは嫌じゃない。いや、嫌は嫌なんだけど。何か、違うっていうか。 あの時は、感じた違和感が良く分からなかったし深くも考えなかったけど。そして今の今まで忘れてたけど。相川さんの言葉で何でか思い出した。
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