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俺も、全然上手く言えないけど。その違いが「家族」なんじゃないかって。今なら何となく、分かるような気がする。
何だかんだいって、結局は信頼してるんだってこと。全ては、そういうこと。なのかなぁ。
「ねぇ達居なかったら、ドSになれてたかなぁ」
「さぁ、居なかったらなんて考えても意味なくない?」
「確かに。居るもんね、三人も」
何か、自然と顔が緩んだ。そうだ、俺姉ちゃん三人も居るんだ。
「相川さんは、あんなイケメンのお兄さん居るしね」
「兄ちゃんより、薫さんの方が好き」
相川さんのお兄さんの彼女、薫さん。頭に浮かべるだけで、穏やかな空気に包まれる気がする。そんな感じの、柔らかい人だ。
「想像するな、ムッツリ野郎」
「む、ムッツリ!?」
確かに想像したけど、そんなんじゃないよ!ムッツリじゃないから!
反論しながら相川さんを見ると、クールな表情に見えて頬っぺたが少しプクッと膨れてて。もう、可愛い。可愛過ぎて可愛すぎて、本当俺をどうしたいんだこの女の子は。
「心配しなくても、俺は小花ちゃん以外に興味ないから大丈夫」
隣を歩く相川さんの手を、そっと握った。キュッて、少しだけ握り返してくれるのが嬉しくて。勝手に顔が、ニヤケてしまう。
「…何か、最近余裕だよね」
ちょっと赤くなった顔で睨んだって、可愛いだけ。
「心が満たされてるからかな。幸せ過ぎて溶けそう」
「バカ」
片手には、優希ねぇへのプレゼント。片手には、彼女のあったかい手の感触。俺、何でこんな幸せなんだろう。
帰ったらちゃんと、優希ねぇにおめでとうって言おう。色々思うところはあるけど、家族が増えるのはきっと、悪いことじゃないから。
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