最終章「南、大団円なるか?」前編

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俺も、全然上手く言えないけど。その違いが「家族」なんじゃないかって。今なら何となく、分かるような気がする。 何だかんだいって、結局は信頼してるんだってこと。全ては、そういうこと。なのかなぁ。 「ねぇ達居なかったら、ドSになれてたかなぁ」 「さぁ、居なかったらなんて考えても意味なくない?」 「確かに。居るもんね、三人も」 何か、自然と顔が緩んだ。そうだ、俺姉ちゃん三人も居るんだ。 「相川さんは、あんなイケメンのお兄さん居るしね」 「兄ちゃんより、薫さんの方が好き」 相川さんのお兄さんの彼女、薫さん。頭に浮かべるだけで、穏やかな空気に包まれる気がする。そんな感じの、柔らかい人だ。 「想像するな、ムッツリ野郎」 「む、ムッツリ!?」 確かに想像したけど、そんなんじゃないよ!ムッツリじゃないから! 反論しながら相川さんを見ると、クールな表情に見えて頬っぺたが少しプクッと膨れてて。もう、可愛い。可愛過ぎて可愛すぎて、本当俺をどうしたいんだこの女の子は。 「心配しなくても、俺は小花ちゃん以外に興味ないから大丈夫」 隣を歩く相川さんの手を、そっと握った。キュッて、少しだけ握り返してくれるのが嬉しくて。勝手に顔が、ニヤケてしまう。 「…何か、最近余裕だよね」 ちょっと赤くなった顔で睨んだって、可愛いだけ。 「心が満たされてるからかな。幸せ過ぎて溶けそう」 「バカ」 片手には、優希ねぇへのプレゼント。片手には、彼女のあったかい手の感触。俺、何でこんな幸せなんだろう。 帰ったらちゃんと、優希ねぇにおめでとうって言おう。色々思うところはあるけど、家族が増えるのはきっと、悪いことじゃないから。
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