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「そ、そんな訳ないじゃん!ち、ちょっと間違えただけだよ!」
俺幸せになってって言ったじゃん!どこをどう解釈したらそうなるんだ!
「し、慎二さんごめんなさい」
涙で前が霞んでて、間違えました。
「…大丈夫」
慎二さんは俺に掴まれたままの手をそのまま、テーブルの上に置かれてる優希ねぇの手の上に移動させた。そして自分の手をスッと引き抜いたから、必然的に俺と優希ねぇの手が重なる。
優希ねぇの手触るのなんて、何年振りだろう。俺が幼稚園の頃は、良く優希ねぇに手を引かれて園まで連れてってもらってた気がする。もちろん母さんも居たけど、あの頃の俺は確か母さんより優希ねぇと手を繋ぎたがってた気がする。
優希ねぇは、重なった手をジッと見つめてる。
「…南の手、こんなおっきくなったんだね」
「…」
「あの頃の南とは、もう、違うね」
優希ねぇの声が掠れてるから、落ち着いてきた俺の涙腺が再び崩壊した。
「ありがと、南」
「ゆ、ゆ、ゆゔぎねぇ〜っ」
鼻水やら涙やらが俺の顔面を汚しまくるので、俺は優希ねぇの手を離して両手で自分の顔をゴシゴシ拭った。
不意に後ろからツン、と控えめに肩辺りをつつかれて振り向くと、相川さんが俺にハンカチを差し出してた。
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