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「ハッキリ言ってよ、何読んでたって?」
「…漫画」
「漫画?」
「…あの、胸キュン間違いなしとか書いてあった、あの…ホラ、あれ…」
急に恥ずかしくなった俺は、徐々に言葉が尻すぼみになっていった。
「あー、〝ドSな彼氏に夢中過ぎて困ってます″ってやつ」
「あー、そう。確かそんなんだったかな」
勢いつけて部屋に入ったくせに、いざ借りるとなると恥ずかしい。若干カッコつけては見たものの、少女漫画借りようとしてる時点で俺は終わってる。
案の定、渥美ねぇの俺を見る目はまるでゴミクズを見るかのようだ。けれどこの際、そんなことは気にしてられない。
「まぁ、良いから。その漫画貸して」
「何で?」
「良いじゃん」
「だから、何で?」
段々と威圧的になる渥美ねぇの言い方。漫画位で、このケチ女め。
「何でも良いから、貸してよ!」
「理由言わないと貸さない」
この世に生まれてから今まで、俺は渥美ねぇに勝ったことがない。本当は渥美ねぇに理由なんか言いたくないけれど、この際背に腹は代えられん。
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