最終章「南、大団円なるか?」中編

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「おーい、鼻の下伸ばしてんなよ南ぃ。舐め回すように相川さん見ちゃって、ムッツリだなお前は」 後ろからガッとのしかかるように肩を組んで着たのは、理人。ワックスで片方に流すようにセットされたヘアスタイルとスーツ姿で、いつもの何倍もカッコ良く見える。 「舐め回すようになんか見てねぇし!」 本人の居る前で止めろ! 「ヤダ慌ててる〜気持ち悪〜。小花ちゃん、私達から離れちゃダメだよ」 そう言って、千里ねぇは相川さんを自分の方に引き寄せた。 「ち、ちょっと千里ねぇっ」 理人に乗っからないでよ! 「まぁ、アンタも案外サマになってるんじゃん?理人には遠く及ばないけど」 渥美ねぇが俺の頭のてっぺんから足先まで目線を沿わせながら、割とどうでも良さそうなトーンでそう口にする。 式場からレンタルしたスーツは、凄くオシャレだった。黒よりのグレーに、両袖の辺りに白いラインがポイントとして入ってる。 細身に見える作りで、ツーピースっていうの?ベストも付いてるタイプ。ネクタイも細身で、スーツ用のフォーマルシューズも借りた。 ワックスでクシュッとさせた前下がりのマッシュヘアは、キチンと見えるように前髪を横に流すようにセットしてる。 「こうして見ると、南もちゃんと男の子なのねぇ」 ちょっと、俺を産んだ母さんが言わないでよ。 「南、背ぇ伸びたなぁ」 と、父さん。いつから居たの。ていうか顔全体が真っ赤だけど大丈夫かな。 そうこうしてる内に式場のスタッフから声がかかって、俺達はチャペルに案内される。いよいよ、結婚式の始まりだ。
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