最終章「南、大団円なるか?後編」

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ーー人前式とは、結婚の誓いを神仏に対して行う変わりに、その場に居るゲストに二人の結婚の証人となってもらうスタイルの結婚式。 だ、そうです。俺はてっきりチャペルで結婚式といえば「ヤメルトキモースコヤカナルトキモー」の牧師さんスタイルだと思ってたから、人前式って聞いてすぐスマホで調べた。 チャペルに入ると、キラキラしたステンドグラスが陽の光を目一杯受けて、まるでそこが現実じゃないみたいに輝いた神聖な場所のようで。 生まれて初めて足を踏み入れたこの場所が、こんなに綺麗で日常とかけ離れてたものだって知らなかった。 チャペル内はそんなに広くないんだけど、代わりに白を基調とした花がそこら中に飾られてるし、何より大きな黒いグランドピアノのどっしりとした存在感が凄い。 チャペルの祭壇を向くように置かれている木製のお洒落なベンチに腰掛ける。隣には相川さんが居て、陽の光の加減なのか彼女もキラキラ光って見えた。 …いやいや、今日の主役は優希ねぇだ。相川さんばっかり見てたら、その場面を確実に理人に撮られて優希ねぇに張り倒される。 とはいえこの前のお食事会でしこたま泣いたし、昨日相川さんと電話で話したお陰もあって完全なる祝福モード。正直、泣けるかどうか不安。ていうか、泣かないで思いっきりお祝いしたいから泣かなくて良いんだよ。 頭で色々考えてる内に、辺りのライトが消される。アナウンスと共に、チャペルの入り口が一斉にライトアップされた。 綺麗で幻想的な音楽と雰囲気の中、ゆっくりと歩くのはベールで顔を覆った優希ねぇとその優希ねぇを気遣うようにしながらも背筋をピンと伸ばした慎二さん。 これもドラマ知識で、てっきりお父さんと花嫁さんが入場して途中で新郎にバトンタッチ的な形式イメージだった俺。最近では、こんな風に最初から二人が腕組みしてのパターンもあるんだなぁ。参考にしよう。
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