第三章「奇妙な関係」

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「てか、私普通に早乙女君に勝っちゃいそうだし」 …そこまでひ弱に見えますかね、俺という男は。 「まぁ、だから変な心配は無用」 「…へい、分かりやした」 熱く息巻いていた俺は何処へやら、急激にショボくれた。 「本当、早乙女君って変人」 「あ、また言った!」 「だって意味分かんないんだもん」 そう言いながら、相川さんは笑っていた。 「しかも別に、早乙女君の為じゃないし。そもそも、ウチの兄ちゃんが男らしいってとこに疑問感じるし」 「いや、それは大丈夫。あの人は完全に俺の理想像」 軽く片手を上げる俺。帝様が間違っている筈はない。 「まぁ、早乙女君が良いんなら良いけど」 「うん!ほんっとうにありがとう、相川さん!!」 「早乙女君の為じゃない。私が、変わる為」 呟くようにそう言う相川さんは、何処か寂しげだった。美少女で、特Aで、言いたいこと何でも言えちゃう彼女にも、やっぱり悩みはあるらしい。 変わりたいと願う相川さんは、きっと今の超毒舌キャラである自分が好きじゃないんだ。俺だって、「可愛い南ちゃん」は好きじゃない。 「俺、何でも協力するから!」 「はいはい」 「相川さんが俺に頼んで良かったって思えるように、めっちゃ頑張るよ!」 「…自分のこと考えなさいよ」 「それも頑張る!」 「…バカ」 また呆れ顔で溜息。ゆっくりと歩き出した相川さんに、俺もニヤケ顔でそれに続いた。 ーーこうして俺達は、側から見れば非常に異質な「秘密の協力協定」を結んだのだった。 変わりたい俺と、同じく変わりたい相川さん。二人揃えばきっと、理想通りの明るい未来が築ける筈だ。
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