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「なんでか追い出されちゃったわね」
なんでか、じゃねえんだよ!
そう言うと、舌を出して挑発する彼女。
ああくそ、ここは銀座の一等地、
路地裏に連れ込んで教育してやるにはリスクが多すぎる。
元はといえば、あの店もキミが行きたいと言うから…
大枚叩いて予約枠を押しのけ、貸切にしたというのにな。全く。
カラカラ。カツカツ。
大通りに響き渡るハイヒール。
へえ!REGALのお店、ここにあるんだ。
「...夕飯までまだ時間があるわ」
右腕を裏返し、時計の針を確認する彼女。
太陽を見る僕、正午はとうに過ぎたが、夕暮れにもまだまだ早い、そんな頃合い。
早く次の店を探せ、そんな眼差し。
「そうだな、ああ・・・」思い出した。
「あの店に行ってみないか?ほら、前に」
「どの店?」人の話すのを遮り、あるいは相槌程度に。
「君が見つけてくれた、あの店。
当日現地集合して、まさかの定休日だった、ってオチの」
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