毒口

1/6
前へ
/6ページ
次へ

毒口

「ただのネタだったのに……。」 ディスプレイに映る、何の変哲もない壁の画像を見ながら私はつぶやいた。 ◇ それは私がアップロードした四コマ漫画から始まった。 私は猫との日常漫画をTwitterにアップロードしており、それなりに読まれていてフォロワー数も多かった。 日常系をメインにしていた私だが、もともとはホラーやオカルトも好きで、一度作品に取り込みたいと考えていた。 そこで日常漫画に入れ込んだのが、「毒口」だった。 部屋の壁に邪気を出す毒口なるものがあり、それを猫が見て鳴いている、という内容だったが、これが思ったよりも拡散した。日常系漫画はノンフィクションである、というバイアスが無意識のうちに掛かるらしく、毒口は実在するものなのかという疑問や、あるいは私が幻覚を見ているのではないかという反応が多く見られた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加