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くしんさんは「ネットのある界隈で毒口が広まっている」というメッセージと共に、あるリンクを送ってくれた。リンク先は古めかしい掲示板だった。様々なスレッドが一覧になっており、新しくコメントされたスレッドが一番上に表示されるようになっている。リンクされたスレッドは「うちにも毒口が!」というタイトルで、一番上に私の四コマ漫画へのリンクが貼られており、続いて投稿者の家にも毒口があったという内容の画像が貼られていた。十人、二十人と続く画像、画像、画像……。ところが、どれにも毒口らしきものは見当たらなかった。
ただの家の壁の写真に「うちにもありました!」「これから出ている邪気はどうすれば祓えるでしょうか?」といったコメントが付けられている。不気味さを覚えた私は、それ以外のスレッドも見てみることにした。
一覧に表示されているスレッドは以下のようなものだった。
「某宗教団体から電磁波攻撃を受けています」
「家に昆虫型UFOがやってきます、どうすればいいでしょうか?」
「公安にオワレている、タスケテクダサイ」
……どうも危ない妄想に取り憑かれた人たちが集まる掲示板のようだ。
一応、毒口のスレッドを最後まで見ることにする。
スレッドをスクロールすると、そこには恐ろしい書き込みが並んでいた。
「毒口を作り出したのはあの四コマの作者です。作者を抹殺すれば毒口もなくなるでしょう。」
「作者は犬が苦手なようです。犬をけしかけてはどうでしょう。」
「作者はX駅前の商店街に出没する様子。」
私が黒幕にされている。しかも、過去のツイートを遡って居場所を特定しようとしている。背筋を冷やりとしたものが伝った。ところが話はここでは終わらなかった。次の書き込みを見て私は全身の毛が逆立つのを感じた。
「次の旅行ではT温泉に行くらしいです。」
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