毒口

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◆ ここまでの文章は、私が友人のU子の部屋で見つけたものだ。 U子は学生の頃から絵が上手く、働きながら四コマ漫画をTwitterにアップロードしていた。そんなU子の様子がおかしいのに気付いたのは、彼女のツイートをまとめて読んだのがきっかけだった。 ある日彼女の四コマ漫画をチェックすると、彼女が盗聴や盗撮をされているという、これまでの内容とはかなり異なるものに変わっていた。最初は創作かと思っていたものの、ツイートを遡ると連日ほぼ同じ内容の漫画やツイートを繰り返しており、何かまずいことが起きている、と感じた。 そこで久しぶりに彼女に連絡を取り、部屋に遊びに行くことにした。やり取りをしている時はいたって普通だったものの、彼女の部屋に入って私はギョッとした。 部屋の窓はガムテープで目張りされ、壁には謎の記号が書かれた紙が大量に貼り付けられていた。さらに、部屋に入るなり彼女は「盗聴されてるかもしれないから、大事なことは筆談で」と書いた紙を見せてきた。 これはまずい、と直感した私は、彼女の姉に相談し、診察を受けさせることにした。何度か診察を受けた後、U子は入院することになった。 彼女の兆候に気付いた縁もあり、入院前の部屋の整理の手伝いをした際に見つけたのがこの文章だった。 文章はレポート用紙1枚に書かれていた。読んでいるうち、私はあることに気付いた。レポート用紙の左上にホッチキスの跡がある。この文章には続きがあるのではないか……。 散らかった床を探していると、果たして二枚目のレポート用紙が見つかった。そこには文章の続きが書かれていた。
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