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間も無く扉が恐る恐る開き、オドオドとした男と男の後ろに顔を隠した女が出てきた。
「クリーニング代だけお先にお預かりさせて頂き、お部屋代は受け付けにてお願い致します。」
みーが少し優しい口調で言った。
「クリーニング代1万円ですがよろしいでしょうか。」男と女が一瞬目を合わせたが、金額に反論出来るような立場では無い。
男がズボンのポケットから財布を出し札を数える。
後ろを振り向き、
「ごめん、ちょっと4千円貸して…」
彼女の口から深いため息が、私とみーも伝染してため息が出そうになるのを堪える。
あくびが移るってよく聞くけど、ため息も移るんだな。
あり合わせの1万円をみーに渡し
「すみませんでした」と一礼をしカップルは小走りで階段を降りて行った。
すぐに3階の受け付けで部屋代を払い出て行くだろう。外に出たカップルがどんな会話をするのか少しだけ興味があった。
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