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昨日の雨が嘘のように、見上げた空は晴れていた。空港のエントランスで僕らは向き合う。腫れた目じりが痛々しく、僕は手を伸ばした。
「泣かないで」
僕のマリア。あなたはいつも僕だけにその美しさを教えてくれる。僕だけがあなたの本当の美しさを知っている。その事実がどれだけ僕を救ってくれたのか、あなたはきっと知らないだろう。先輩が僕の名前を呼ぶ。
「だいきらい」
嘘つきなひと。
そうせずにはいられない、かわいそうでいとおしい、僕だけの聖女。
彼女は毎日、僕の告白を受け止めて許す。
「二〇五」
先輩は否定しない。
「……もう戻ってこないで」
二〇六。
「すぐに戻ってきますよ」
先輩が泣く。それすらも美しい。
「愛しています」
懺悔して僕は口づける。唇に熱を、首すじに誓いのしるしを残して僕は離れる。
どんなに遠ざかっても、嘘に嘘を重ねても、僕は先輩の嘘を数えて生きたい。生きたい。それだけを自分の意味にしたい。だから、そのために、今は離れていかなくては。分かっているのになかなか動かない足を、アナウンスが急かしている。
「うそつき」
無理して笑うあなたが美しいから。
手術は成功すると、僕は信じることができる。心から。

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