零幕 太平道の夢

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「私は、よい父だっただろうか」  思わず漏らした言葉。  家庭を顧みることをしなかった。そんな自分は、もう人を愛する資格などないと思っていた。だから、家族を捨てるのになんの躊躇いもなかった。  自分が子供達に対して出来ることは、愛することではなく、生き方を示すことだと思った。  自分の信念を、志を一晩中話した。  そして家を後にしようとした。  そんな時。  ふと漏らした言葉。  「お父さん、頑張ってね」  返ってきた言葉は予想していなかった。夢にさえ見ていなかった。  手作りの御守りと共に向けられた笑顔。それを、たとえ死んだとしても、忘れることはないだろう。
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