44人が本棚に入れています
本棚に追加
/575ページ
「私は、よい父だっただろうか」
思わず漏らした言葉。
家庭を顧みることをしなかった。そんな自分は、もう人を愛する資格などないと思っていた。だから、家族を捨てるのになんの躊躇いもなかった。
自分が子供達に対して出来ることは、愛することではなく、生き方を示すことだと思った。
自分の信念を、志を一晩中話した。
そして家を後にしようとした。
そんな時。
ふと漏らした言葉。
「お父さん、頑張ってね」
返ってきた言葉は予想していなかった。夢にさえ見ていなかった。
手作りの御守りと共に向けられた笑顔。それを、たとえ死んだとしても、忘れることはないだろう。
最初のコメントを投稿しよう!