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【梶原花穂】
ナースステーションで聞いた病室の扉に花穂ちゃんのネームプレートが付けらていることを確認して、病室の横開きのドアに手をかける。
どうやら個室のようだ。
コンコンと控えめにノックをして、ドアを開ける。
個室とはいえ、中はさらに黄色のカーテンで仕切られていて、花穂ちゃんの姿は見えない。
僕が病室に入ってきたことに気がついた、花穂ちゃんのお母さんがカーテンの奥から出てきた。
「あら、将太くん……」
僕の名前を呼ぶ声は、花穂ちゃんのそれとも良く似ている。
外傷は擦り傷程度だったものの、花穂ちゃんは二週間も意識が戻らなかった。ようやく意識が戻ったというのに、目の前の花穂ちゃんのお母さんの顔には全くといっていいほど安堵の様子が見られない。
そんな花穂ちゃんのお母さんの姿が気がかりだった。
「来てくれてありがとう。将太くんも花穂に会ってやって」
お母さんの声がどこか切羽詰まったように聞こえるのは、僕の気のせいだろうか。
何となく嫌な予感を胸に感じる一方で、はやる気持ちもあった。
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