方程式

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「ねーねー先生ー!」 「んー?」 梅雨明けの高校のお昼休み、黒縁メガネをかけた若く利口そうな顔をしている数学教師の名取は数学室で椅子に座りゲームをしていた。 ショートボブヘアの女子生徒大崎真琴がその後ろからよしかかり名取に抱きついていた。 「ねー名取先生ーいつまでゲームしてるのー?」 「すまんなー大崎、あと少しー。」 「もう!3日前にDS買ってから全然構ってくれないんだから!」 真琴は少しむくれた顔をした。 「…‥…。」 名取は真琴に構わずゲームをしていた。 しばらくするとチャイムが鳴った。 「お、もうこんな時間か。」 名取は腕時計を見た。 「あーあ....今日は先生と何も出来なかったなー。」 「そうだ大崎、その....これからのことなんだけど....。」 「なんですか?」 「悪いがもう個人的にこうして会うのは今日が最後にしてくれないか?」 「は?」 「実はな、この前校長から学校の理事長の娘を紹介されてな。お付き合いする事になったんだ。」 「え!?お付き合い!?」 「ああ、だから生徒とこうしてる事バレたらまずいからな。」 「なにそれ!?私だって先生と.....!」 真琴は名取の服を掴んで縋った。 「そもそも教師と生徒なんて堂々と出来ないしな。短命に終わるのは初めから大崎だってわかっていたことだろ?」 「違います!私は本気で.....。」 「最初は田舎の高校に赴任だなんてどうなることかと思ったけど良い縁談話が来るとはな。それまではお前のおかげで2ヶ月近く楽しく過ごせたよ。ありがとう!」 「ちょっと名取先生!」 「お礼に数学の成績はサービスしといてやるから!オレはもう授業に行くからな、数学室の鍵はいつもの所置いておけよ!じゃあな!」 真琴は呆然と名取の背中を見送った。 「な....な.....。」
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