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こういう時、度胸があって積極的なのは女子なのだろう。残された俺は石川と一緒に乗る。
俺は碇のように、石川にキスしたいと思っているわけではない。ホーンテッドマンションに乗るのは初めてだったので、どんなアトラクションなのかワクワクしながら乗り込む。二人乗りの椅子は俺と石川を乗せ、暗い館をゆっくりと進んでいく。
「この館には999人の幽霊がいて、その中には、自分にそっくりな幽霊もいるらしいよ。それを見つけちゃうと、幽霊にされちゃうんだって」
石川はディズニーランドには何回か行った事があるらしく、アトラクションについて詳しい。こういう情報があるとなしでは、面白みが違ってくる。ディズニーランドに来たのが幼稚園以来の俺に取ってはありがたい存在だ。
「あっ、あれ。碇君に似てる!」
眼下に見える屋敷では古ぼけた幽霊達が楽しそうにパーティをしていて、石川がその隅の方にいる幽霊を指差して言った。
「ほんとだ! 隣は、安西に似てる!」
「二人が気づいたら、幽霊になっちゃうね」
幽霊になることに少しだけ心配をしながら、俺たちは顔を見合わせて笑った。
「ところで、碇と安西って仲良いよな」
「小学生の時から、仲良しなんだって。家も近いみたいだし」
「二人って付き合ってるの?」
「まだみたい」
「そっか」
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