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なんだ、まだ付き合っていなかったのか。じゃぁ、いまからキスをするのは無理だろうな。普通は付き合ってからキスの順番だろうし。
「相田君は好きな人いるの?」
「えっ? 俺?」
「うん……」
「俺は……。いないかな」
俺は急な質問に焦った。どうしてそんなことを聞かれるのだろうか。
もしかして、石川が俺のことを好きとか?
いや、それはないだろう。出会ってまだ3ヶ月だし。
「石川は好きな人いるの?」
「私は、いるよ」
何気なく聞き返してみたら、石川には好きな人がいた。
誰だろう。いつも仲良くしている男子は俺たちだけだし。
もしかして、他のクラスとか別の学校とか塾に好きな人がいたりするのか?
それとも担任の椎名先生か? いや、それはない。おじさんだし、イケメンでもない。
じゃあ、誰なのだろう。
俺が考え込んでいる間少しだけ沈黙ができてしまった。
その時、突然「わー!」と、安西の声がした。
「陽子、どうしたの?」
石川が大声で尋ねる。安西の声が聞こえたから、石川の声も安西に聞こえるはずだ。
別に乗っている椅子が急回転、急落下したわけでもないし、おばけが突然出てきた様子もない。
「ごめん、なんでもない!」
と、安西の返事が聞こえた。
「何かあったのかな?」
「さぁ……。幽霊になっちゃったとか?」
「ありえる!」
あはは、と俺たちは笑った。
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