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うっかり自分と同じおばけを見つけちゃったのかもしれない。きっと二人はこの屋敷の住人になってしまったのだ。
「ねぇ、碇君。私ね」
石川が何かを言おうとすると、お腹まで下がっていた安全バーが上がった。
「あっ、終わりか」
俺たちはキャストに導かれて、動く椅子から降ろされた。
出口に向かう通路で振り返って「何か言おうとした?」と聞くと、「ううん、何でもない」と言って、小走りで駆けて行った。
外に出ると、碇と安西が二人で待っていた。足もついているし、透明にもなっていない。どうやら二人は幽霊にはなっていなかったらしい。
二人が俺たちに気がつくと、安西は真っ先に石川に駆け寄りハグをして、石川の胸に顔を埋める。
いったい、安西はどうしちゃったんだ?
俺は驚いて二人から離れて、碇の元に歩みを進める。
「お前、何したの?」
「告白してキスした」
「まじで!?」
あの時の安西の悲鳴はそういうことだったのだ。
でも、嫌がっている様子はない。つまり、安西も碇のことが好きだったということだ。
「ほら、相田も」
碇は俺の背中を小突く。
「お前も石川に告っちゃえよ」
石川を見ると、今しがた告白された安西ときゃっきゃしている。
「いや、ほら、俺は……」
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