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お返事くだサル?
「好きです。付き合ってください 石川」
俺は生まれて初めてラブレターをもらった。
その返事をいつ、どこで、どうやってすれば良いのか迷っていた。
「相田くん、歴史のノート貸して」
中学一年生の最初の期末試験前、斜め後ろの席に座る石川由美に声をかけられた。
いいよ、と言って机の中から歴史のノートを取り出し、石川に手渡す。ノートを貸すのはこれで二度目で、一度目は中間テストの時だった。
石川は歴史が苦手だと言っていたので、俺のノートを見せて語呂合わせや覚え方のコツを教えた。例えば、歴史上の人物の顔は漫画で描いたり、小説みたいに事件のあらすじを書いていたりした。そうすることで、歴史上の人物や年号も、するすると覚えられて忘れにくい。俺なりの勉強のコツだった。
その時、石川は「すごい」とか「わかりやすい」とか言った後、「同じように勉強したいからノートを貸して」と言った。
俺はそこまで褒められると悪い気はしなくて、喜んで貸してあげた。
石川はノートをコピーしたらしく翌日の朝に返してくれた。
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