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快楽で蕩けた視界に、ふと、飲みかけのティーカップが映り込む。
ああ、ここは自室ではなく、相談室だった、と。
アザミは遅まきながらそのことを思い出した。
隣の自室へと場所を移すべきか……。
そう考えたアザミだったが、しかし、熱心に乳首に吸い付いてくる男の双眸に、こらえきれないような欲望の色を見つけて、制止の声を飲み込んだ。
アザミの気が逸れたことを察したのか、怪士が、じゅるっとひと際大きな音を立ててそれを吸った。
男の唇に挟まれた、アザミの乳首が伸びている。
限界まで伸びたそれの先端をちろちろと舐められ、乳輪に歯を立てられた。
「あああっ!」
アザミは背筋を反らせ、さらに胸を突き出す格好になる。
カーブを描く、アザミの腰を男の逞しい腕が抱きしめて……。
更なる快楽を、アザミに与えようとしてきた、……その瞬間。
コンコンコン、と軽やかなノックの音とともに、相談室の扉が開かれ。
「般若さま、マツバです」
と、しばしばここを訪れる男娼のマツバツバキがアザミへと声を掛けながら入ってきた。
「珍しいお菓子をいただいたのでアザミさんもどうかと……って、うわぁっ!」
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