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「もう、いいか?」
痺れを切らしたかのように、慎介が顔をグッともう一度近づける。
嫌ならば断ればいい、拒否すればいいのに。
どうして私は否定の言葉を口にできないのだろう。
かといって肯定の言葉も出ない。
つまりは一番中途半端でわがままなことをしている。
何も言えず、慎介を見つめることすらできない私せめて視線だけはと思い、そらす。
「目、閉じないと恥ずかしいのはお前だけど」
私の行動を肯定と受け取ったのだろう。
キスする前提で話を進められた。
「別に、何も言ってないから…」
「早くしねぇとそろそろ待てない」
私を押し倒して顔を近づけている状況でよくそんなことが言えるものだ。
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