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「元気ねぇな、どうした?」
私ってつくづく寂しい女だと思っていたら、突然この家の主である慎介に声をかけられた。
「慎介…別に特に何もない、けど」
「嘘つけ、いつもより暗いけど」
さすが何年も一緒に仕事をしてるだけあって、私の変化に鋭い慎介。
上司にも同期にも後輩にも信頼されている慎介は、仕事を期待以上にこなすデキる男。
その上容姿もいいからモテモテ。
だけど今は仕事一筋らしく、本当にもったいない。
慎介も私と同じで三十路目前だというのに。
「ねぇ、彼女作らないの?」
「は?なんだよ急に」
「別に、聞いてみただけ。慎介って仕事できるし、モテるからもったいないなって。結婚願望は?」
「なんだそれ」
私の話に呆れ顔をしながら、お酒を飲む慎介。
何もそんな顔しなくてもいいじゃん。
まあ慎介はそういうのに興味がなさそうだから仕方ないか、と一人納得する。
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