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「眠いでしょう? 寝てていいですよ」 「えっ、いや……あざといってなんですか? えっ、僕が!?」 「そんなこと言ってませんけど。ほら、寝てください」 「言ってましたって! えーっ、あざとくないですよー!」 「寝なさい!」 「えっ!?」  あれから、結局僕が折れて寝た。結構疲れていたのか、あっという間に夢の中に誘われて、気づいたら煌河さんが住むマンションの前に着いていた。 「着きましたよ」 「ありがとうございます!」  荷物を持って車から出る。車が発進しようとしていたので、僕は大きく手を振った。すると、ハザードが何回か点滅した。僕が手を振っているのがわかったらしい。  ふうっと息を吐いてからマンションの中に入る。  煌河さんが住む階に行って、ピンポンを押した。  すぐにドアが開けられて、煌河さんの顔がドアの隙間から見える。
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