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「いらっしゃい」
「お邪魔します。今って何時ですか?」
「九時……ちょっと過ぎくらいかな? 大変だったね」
煌河さんが家の中に入っていくので、それを追うようにしてついていく。
既にスリッパが用意されていて、用意してくれたんだと思うと顔が綻ぶ。やっぱり、こういうところに優しさが滲み出てる。
リビングに入ると、テーブルの上に料理がいくつか並んでいて、ちゃっかりお酒も並んでいる。
「なんか……大人数が来るみたいですね」
「そうだね。少し作りすぎたみたい」
手を洗っておいで、と言われたのでキッチンに向かう。
水を出して、石鹸をつける。段々手の感覚がなくなってきて、力も入ってこなくなったので慌てて泡を洗い流し、手をふかふかのタオルで拭く。
うがいをしてからリビングに戻ると、既に煌河さんがテーブルの前に座っていた。
「お、来た。じゃあ、早速飲もうか」
「はい」
やや走るように煌河さんの側に近づき、ぺたんと座る。急いでいる僕のことを見て、煌河さんが微笑んでいた。
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