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 ちら、と煌河さんの顔を見ると、嬉しそうに眦を下げて微笑んでいた。滅多に僕が言わないことを言ったからなのかわからないけど、煌河さんが喜んでいるならいいのかな。  グラスを受け取り、互いにグラスを音を立てて合わしてからお酒を喉に流し込む。  なんだか疲れが取れていくような気がした。 「っはぁ……」  段々お酒の魅力がわかるようになってきてからは色んなものを飲んでみたりしている。カクテルとか、ワインとか。  高いものはやっぱり美味しいんだな、と思う。 「あっ、さっきのキスマークの件ですけど」 「ぅん?」 「つけないでくださいね? 僕つけられたら加藤さんに睨まれる……」 「いや、加藤さんは睨むどころじゃないでしょ。説教されるんじゃない?」 「ひぃぃ」  加藤さんから説教されるって、考えたくもない。一回だけ本当に怒られたことがあるんだけど、その時は本当に怖かった。とにかく怖い。  正座させられて、三十分くらい怒られた。その時は完全に僕が悪かったんだけど……
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