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「でも一回だけすげえ怒られてたよね。あれなんで?」 「……やっておけって言われていたアンケートを忘れて、寝坊したので」 「あー、それは加藤さん怒るね」  煌河さんも苦笑している。天然と言えば聞こえはいいけど、周りから見たら僕は「アホな子」らしい。否定はできない……  トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼを箸で掴む。口に入れた瞬間にバジルの風味が口いっぱいに広がり、噛んでみるとトマトの酸味とモッツァレラチーズの独特な食感が食欲を誘った。 「美味しい」 「良かった。バジル苦手だったらどうしようって思ったけど。基本的に好き嫌いがないもんね」 「そうですね。あっ、でも……」 「ん?」 「きのこっていうか……椎茸が無理ですね。なんか、匂いと味が好きじゃないっていうか」  形からして苦手なんだけど、鼻を通る匂いがなんとなく苦手。勿論好きな人もいるだろうけど、どうしても好きになれない。きのこの山は好き。  実際のきのこもビスケットとチョコでできてればな、なんて思ったりもする。あっ、でも煮たり焼いたりしたらチョコが溶けちゃうか。 「俺は普通に好きだな。茶碗蒸しとかに入ってるやつ美味しいからさ」 「僕のところだけ椎茸が入ってない茶碗蒸しでしたよ」 「あ、まじ?」
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