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がたがたとなる騒がしい音と激しい揺れで俺は目を覚ます。てか、ケツめっちゃ痛いんですけど。
(どこだよここ。)
「どこだよここ。」
口に出てた
「目が覚めたか、ここは馬車の中だ。」
おーぅ、むさいオッサン。体ぐらい綺麗にしろよな。髭剃れ髭
周りを見渡してみると確かに馬車の中である。
そして檻みたいなところに閉じ込め(?)られていた。
寒いと思ったら服が粗末な布に着替えさせられていた。手には分厚い金属できている手錠と思われるものが、足には鉄球付きの足枷がついていた。か
「は?どういうことだよ。この服装まるで罪人みたいじゃないか。」
「そうだ、お前は重罪人だ。お城のメイドを毒殺した罪と国家反逆の容疑のな。」
「なっ?!証拠がないだろそんな馬鹿げた」
「証拠ならあるさ。お前の机から見つかった毒に、装備を身に着けていたままのお前。」
「くそっ。はめられた。」
怒りに任せて檻を殴る。ただ痛いだけだった。
いまさら思えばおかしいことはたくさんあった。メイドが朝早くに来た事、あんなに焦っていたのに一切危機感を覚えなかったこと。そのことに気づき後悔する。
「なあ、おっさんこの馬車はどこに行くんだ?」
「おっさん言うな俺はまだ20代だ。この馬車は三大迷宮に行くんだ。それも〈罪人の地下墳墓〉へとな。」
「三大迷宮?なんだよそれ。」
「知らないのか?三大迷宮というのは『罪人の地下墳墓』
『巨龍の砂海』『昇龍の氷獄』という代表的な迷宮のことだ。」
この後俺が質問し、おっさんが答えるという時間が続いた。
このおっさん見た目によらず案外面倒見良いぞ?
そんなくだらない時間を続けなければ俺は、ヴェルに対しての憎悪で狂っていただろう。
そんなことをずっと繰り返していると不意に馬車が止まった。目的地ー罪人の地下墳墓ーとやらについたのだろうか。キィと、音がし扉が開かれる。
馬車の中のよどんだ空気が排出され、きれいな空気が入ってくる。
「おい、さっさと降りろ。」
その声の奥に見える景色に心が冷静になり立ち代わり怒りが恐怖に変わる。恐怖で足が震え、涙が出そうになる。
心の中でこの寒さは偽物だと考え続ける。
「ちっ、さっさと降りろ。」
「あ、あぁ分かった。」
馬車の前に三人の兵士が並ぶ。
兵士たちにさっさと降りろと無言で要求されしぶしぶ降りる。
彼らに、ついてこいと言ったのでついていくといかにもな扉があった。
二人の兵士がその扉を開けると、そこには底の見えない暗い暗い穴があった。
「まさか、この穴に飛び込めってんじゃあないだろうな。」
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