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目覚めの時
目の前に白い光が、きらめく。
俺が目を開けるとそこは、ヴェルの城をもう少し広くして暗めの配色にしたようなところに寝転がっていた。
「ここは……どこだ?」
だがその言葉にこたえるものは誰もいない。
俺はどうしてここにいるんだ?俺は城に居たはずなのに。と思ったところで記憶が水に水滴を落とした時にできる波紋が広がるように、記憶を取り戻した。
その時ことん、という音が聞こえ、そちらの方向を見ると、少女、改め幼女がいた。
「あれ?お兄ちゃん目覚めたの?」
幼女は、少し舌足らずな声で言う。
「ああ、ところで君は誰なんだ。ここはどこだ。」
「お兄ちゃん知らないの?ここは迷宮だよ?私はここの魔王マリア=リヴァイブだよ。」
はあ?えっどうゆうことだ?この幼女が魔王?この子を倒さないといけなかったの?
《肯定いたします。》
えっ誰、怖い、幻聴?
《怒りますよ。さっきも会ったでしょう。》
あっ、思い出した。メーティスさんだ。
「どうかした?お兄ちゃん。さっきから一人で、ブツブツ言ってるけど。」
「いや、なんでもないよ。えーっとマリア…さん。」
「マリアでいーよ?あっ、そうだお兄ちゃんのために、装備とかいろいろ集めてきたよ?」
「あのーそのお兄ちゃんって呼び方やめてほしいんだけど。」
心からの本心。俺には妹がいたから呼ばれてるだけだったらいいんだけど、なんか恥ずかしい(´∀`*)ポッ。
まぁ冗談は置いておいて。
「なんでー?お兄ちゃんはお兄ちゃんなのに(グスッグスッ)」
「わかったわかった、呼んでいいから泣かないで。」
泣かれたら完全に俺が悪者になるよな…
「うん(グスッ)」
「じゃあ、俺はマリアが持ってきてくれた装備とか着るから、出て行ってくれる?」
「あい。」
素直でかわいいな。俺の妹もこんなときあったなあ。いやあの子はいつだろうと素直で可愛かったが…
そんなことを考えながら装備に着替えた。
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