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僕は自宅に帰って、交通事故を起こした人物が逮捕されたことを母に話した。
その人物が僕の産みの父であることを母に話そうかどうしようか迷ったけれど、いづれ母がその事実を知ってしまう日がくるだろうと考えて正直に全てを打ち明けた。
「おかあさん、ごめんなさい!」
僕が謝ると母が、
「陸が謝ることはないよ!
陸は何も悪くないよ!」
と僕に優しい言葉をかけてくれた。
「陸、一緒におとうさんに報告しようよ!」
母から声をかけられて、僕は祭壇の前に座って父の位牌に向かって手を合わせ、交通事故を起こした人物が逮捕されたことを父に報告した。
報告が終わると母が、
「陸は幼い頃辛い思いをして、今回も陸にとっては辛い状況になってしまったわね!
でもね陸、おとうさんの分も頑張って生きていくんだよ!」
と温かい言葉をかけてくれた。
それから1ヶ月半ほど経って、父の49日と納骨を行った。
僕は父のお墓の前で手を合わせて、心の中で父に語りかけた。
(おとうさん、こんなことになってしまって本当にごめんなさい!
おとうさんの代わりに、おかあさんのことを助けて、これからも頑張って生きていくからね!)
僕は、おとうさんが残してくれた、ぽかぽかと温かいぬくもりのある家庭を一生涯守っていこうと心に誓った。
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