第二話

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 自殺して、遺書を残してもその瞬間には大きく問題として取り上げられるが、ほんの一年も過ぎれば無関係だった人々はその問題をあっさりと忘れてしまうらしい。  そうして、何も変わらない素敵な世の中が、今も続いているのだ。  みんなで作った素敵な社会だと、ひじりは皮肉に笑った。  そして、同時に凄まじい熱が身体の内側、心臓の部分、心と呼ばれるところから発生しているのを感じていた。  こんな世の中は嫌だ、という強い思いだった。  居ても立ってもいられない衝動が、ひじりを無性に焦らせた。  この世の中に一秒だって居たくない。その思いが膨れ上がっていく。  今、十二歳だ。今年で十三歳になる。  寿命まであと何年だだろう。あと何十年、この悪魔の世界で生きていかなくてはならないのだろう?  たった十二年生きて来ただけでもこの世の闇を十分に思い知ったのに、これをあと数十年繰り返していかなくてはならないのか。  そう思うと、とんでもない地獄の中にいると明確に感じざるを得なくなった。 「……自殺をしよう」  そう思い立った。前向きに、そう思った。  このような社会に関わっていくことさえ嫌悪感を持ってしまった以上、もう一秒だってこの世界に居たくないと考えてしまう。     
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