第二話

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 だったら、衝撃を与えられる『死』を見せつけよう。  ほんの僅かでもこの世の中にダメージを与える一撃を与えるのだ。 「どうしたら、私の命で多くの人に影響を与えられるだろう」  そう考え始めると、なんだかワクワクしてきた。  くすっと少し笑った。自然に出た笑顔で、不思議だった。  自虐の笑みではなく、本当に楽しみになって来たのだ。まるで旅行の計画を立てる時みたいに。  学校で自殺するのがいいだろうか?  まずそう思った。それから、すぐにその考えが良くないことだと思い至った。  あそこは悪魔の巣窟だ。虐めを黙殺して、何もないふりを貫く。あの場で自分が死んだって、無視を決め込むに違いない。あの教師のように。 「早く死ね……か。自殺って、人を楽しませることもできるんだ」  ネットの動画サイトにアップロードして、ショッキングな事件で小銭を稼ぐような人もいるらしい。  退屈な日常に飽き飽きしている人々は、刺激を求めているのだ。 「人間の醜さそのものがエンターテイメントにもなる……。自殺しろって言った『悪人』に対してなら、『何もしなかった人』は良い人ぶれる……。堂々とその人を『悪人』として攻撃できるから」     
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