第二話

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 ひじりは考える。考えて、考えて一つの思い付きが形になっていくのを実感していた。 「悪人を、作ればいいんだ」  自分を追い込んだ悪魔。学校のクラスメート、そして担任の教師。  彼らが社会的な『悪者』に仕立て上げられた時、多くの人々がこぞって彼らを攻撃し始める。  住所を特定し、ネットで晒し上げて、これから先まともに生活できなくなるようになる……。  ツイッターでバカなことをやって炎上した男性が、以後ずっと粘着質に嫌がらせを受け続けてまともな生活を送れなくなっていることを知った。  今やネットでバズってしまえば多くの味方を手に入れることができるのだ。  そしてそういう人々もまた、腐り切った社会の一部でしかない。自分を正当化したいがため、道を踏み外した人間を見付けると、嬉々として攻撃するのだから。  つくづく、この社会に対して唾を吐きたくなる。  やはり、生きていたくはない。このような世の中に染まって生きていくくらいなら、今この時、潔く死んでしまいたい。  ひじりは、遺書を書くことにした。  自分のこの状況を組み立てたクラスメートの名前を全て書き連ねた。  クラスメートは全員の名前を書くことにした。誰一人として許すつもりはなかった。     
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