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「見ろよ、ツイッターで上がってる」
「うわ、すっげー」
どうも、ツイッターに事故に出くわした人の動画が上がっているのか、二人は興味津々という様子で夢中だった。
稲葉は高校生から目を外し、駅のホームから線路を見つめていた。
名前も知らない自殺をしたその人物のことを考えると、なぜそんな死に方を選ぶのだろうかと苛立ってしまう。
どうせ死ぬなら、誰もこない樹海にでも行って静かに死んでほしいものだ。
こんなにも多くの人に影響を及ぼして、迷惑をかけ、中にはそれをエンターテイメントのように受け取り、楽しむものさえいる。
本人は死んでしまえばそれで終わりでいいだろうが、生きている他の人間は、その死によって、多大な影響を受けてしまうのだ。
この人身事故に巻き込まれたせいで、『遅刻』することになって、要らぬ連絡を取らされたこちらのことを少しは考えて欲しいものだ。
死ぬということは、それだけ多くの人に影響を与えてしまうということを、理解してほしい。
そんな風に考えて、稲葉は表情に皴を作っていた。
どうせ死ぬのなら……、きちんと身辺整理をして、誰にも影響を与えぬように準備してから死ぬべきだ。
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